コラム

電子化に関する疑問やお悩みが解決できる情報をお伝えしています。

紙が劣化する10個の原因と6つの対策方法|長期保存には電子化がおすすめ

コラム

探していた書類が変色していた、印字が薄くなっていたという経験をした方は少なくありません。紙は適切に保管していないと、さまざまな要因で劣化してしまいます。

このコラムでは、紙が劣化してしまう原因と対策方法をご紹介します。紙を保管する際の参考にしてみてください。

紙が劣化する10つの原因

紙が劣化する主な原因は下記の10つです。

  • 紙に含まれている成分(リグニン・硫酸アルミニウム)
  • 紫外線・赤外線
  • 温度・湿度
  •  酸化
  • 大気汚染物質・大気中に含まれる成分
  • カビ
  • 虫・小動物
  • ちり・ほこり
  • 人為的な損傷
  • 自然災害

以下でそれぞれの原因について簡単に説明します。

紙に含まれている成分(リグニン・硫酸アルミニウム)

紙には、劣化の原因となる成分が含まれています。
紙の原料となる木材に含まれているリグニンや、インク滲み止めとして使用されている硫酸アルミニウムです。
リグニンは、発色性が高い成分で徐々に変色してしまいます。
硫酸アルミニウムが含まれている紙を酸性紙といい、空気中の水分と反応して紙繊維であるセルロースを分解してしまうため、時間の経過にともない紙がもろくなってしまうのです。

紫外線・赤外線

太陽や蛍光灯の光に含まれる紫外線は、紙を劣化させ印刷を退色させてしまいます。また、赤外線も、紙を乾燥させ劣化を促進してしまうので、できるだけ紙を光に当てないように注意しましょう。

温度・湿度変化

紙は、温度・湿度変化の影響を受けやすいです。温度・湿度が高すぎても低すぎても紙にとってはよくありません。紙にとって最も適しているのは、温度20℃前後、湿度60%前後といわれています。保管場所の温度・湿度をできるだけ一定に保つように努めましょう。

酸化

空気中に含まれている酸素は、有機物質を酸化します。紙繊維であるセルロースは有機物質であり、酸素と反応して変質・分解されることで劣化します。つまり、紙は時間の経過とともに酸化され劣化していくということです。

大気汚染物質・大気中に含まれる成分

硫黄酸化物や窒素酸化物、タバコの煙などの大気汚染物質は、紙を劣化させます。また、空気中に含まれているアセトアルデヒド・ホルムアルデヒド・ギ酸・酢酸・アンモニアなども、紙の劣化の原因となる物質です。

カビ

カビは、フォクシングと呼ばれている茶褐色の斑点を作ったり、紙の強度低下を引き起こしたりします。フォクシングは一度できてしまうと取り除いても、茶褐色の斑点は残ってしまうため、カビを発生させないようにしなければなりません。
カビは、高湿度でほこりや手あかが堆積している環境で発生し繁殖します。そのため、保管場所の湿度を60%程度に保ち、定期的にほこりがたまらないように掃除することが必要です。

虫・小動物

ゴキブリやシミ、シバンムシ、シロアリなどの虫類が紙を食べてしまうことがあります。ネズミなどの小動物は、エサとして紙は食べませんが、かじる・引っ掻くなどで損傷を与えることがあります。また、ネズミが紙の上に糞や尿をすると染みとして残ってしまうこともあるので注意が必要です。

ちりやほこり

ちりやほこりが紙に堆積してしまうと汚れるだけではなく、カビや虫が発生する原因となり、紙の劣化につながります。

人為的な劣化

人の不注意から引き起こされる紙の損傷なども劣化の原因です。具体例としては、雑に扱ったことで破れてしまった、保管の仕方が悪く歪んでしまったことなどがあげられます。また、閲覧後の不注意による紛失、部外者による盗難、火災による焼失なども人為的な劣化の原因です。
丁寧に扱うことは当たり前のことですが、閲覧制限や閲覧時の取り扱いなどのルールを決めることで人為的な劣化を予防することができます。

自然災害

自然災害による紙の劣化は、地震や水害などの被害を受けたときに、紙が破けてしまったり、濡れてしまったりするケースが当てはまります。自然災害自体を防ぐことは難しいですが、自然災害の影響を受けにくい方法や場所を考えて、紙を保管しておくことが大切です。

紙の劣化を防ぐ6つの対策

次は、紙の劣化を防ぐ対策をご紹介します。
主な対策は下記の6つです。

  • 上質紙・コート紙などの使用
  • ラミネート加工
  • 脱酸性化処理
  • 温度・湿度が一定に保たれている暗所での保管
  • アーカイバル容器を使った保管
  • 定期的な状態確認

それぞれの対策を以下で簡単にご紹介します。

上質紙・コート紙の使用

最も簡単な対策は、劣化しにくい紙を使用することです。変色の原因となるリグニンを含んでいなく、100%パルプで作られている上質紙は変色しにくいため、会社の書類や学校の配布物などで幅広く使われています。
上質紙の表面をコーティングしたコート紙は、さらに耐久性が高く印刷物の発色も優れた紙です。

ラミネート加工

ラミネート加工とは、紙に透明のフィルムを貼り付けて耐久性をあげる加工です。ラミネート加工をすれば、ほこりや水分から紙を守ってくれます。また、UVカット仕様のフィルムを使用すれば、紫外線による劣化も防ぐことが可能です。
しかし、ラミネート加工には手間と費用がかかるため、特に劣化を防ぎたい紙類を厳選して加工することをおすすめします。

脱酸性化処理

紙の劣化の原因になる硫酸アルミニウムが含まれている酸性紙の劣化対策として、脱酸性化処理があります。脱酸性化処理は、アルカリ性剤を溶かした水に酸性紙を浸して、紙の中の酸を中和する処理のことです。
脱酸性化処理をした酸性紙の寿命は、3~5倍に伸びるといわれており、劣化を大幅に遅らせることができます。
しかし、色調などにアルカリ性剤が影響を与える可能性があるため、脱酸性化処置をする紙は慎重に選ばなければいけません。

温度・湿度が一定の範囲内に保たれている暗所での保管

紫外線や赤外線、温度・湿度が紙の劣化の原因となるため、温度・湿度が一定の範囲内に保たれている暗所に保管することで、劣化を遅らせることが可能です。紙の劣化を遅らせる環境作りとして、UVカットカーテンや遮光カーテンや冷暖房機、除湿器などの利用をおすすめします。

アーカイバル容器を使った保管

劣化の原因となる大気中の成分や紙から発生する酸性ガスなどから、紙を守るために開発されたのがアーカイバル容器です。アーカイバル容器は、大気中の劣化成分を遮断するだけではなく、紙から発生する酸性ガスを吸収します。また、ほこりやちりの堆積を防ぎ、虫や小動物から紙を守り、温度・湿度の影響を緩和する効果もある容器です。

定期的な状態確認

劣化を遅らせる環境で保管していても、紙の状態を定期的に確認することが大切です。紙は徐々に劣化していくので、見た目の変化や触った感触などメモを取りながら確認していく必要があります。定期的に状態を確認することで、保管状態の見直しや新たな劣化対策を検討することが可能です。

紙書類の長期保存には電子化がおすすめ

紙の劣化対策方法をご紹介してきましたが、劣化を遅らせるには永続的にコストがかかるうえ、紙の劣化を完全に防ぐことは難しいでしょう。 そこで、紙書類や書籍の長期的保存におすすめなのが電子化です。

電子化をすれば、紙のままよりも保存環境に気を遣う必要がなくなります。また、保管スペースの削減や検索性の向上、共有性の向上などさまざまなメリットもあります。

まとめ

紙が劣化する原因と対策方法を紹介しました。紙は適切な環境と方法で保管すれば、大幅に劣化を遅らせることが可能です。
現在、多くの企業様が取り組んでいる紙書類の電子化は、紙の劣化というお悩みの解決方法といえます。紙書類や書籍などの長期保存でお悩みの企業様は、電子化を検討してみてはいかがでしょうか。
電子化についてどのようなお悩みでも、弊社にお気軽にご相談ください。

一覧に戻る