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文書の電子化、複合機と専門業者はどっちがいい?メリット・デメリットを検証

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「ペーパーレス化を進めたいけれど、山積みの紙の書類をどうやって電子化すればいいのだろう?」

多くの企業が抱えるこの課題。解決策として考えられるのは、オフィスの複合機を使う「自社対応」と、専門業者に任せる「外部委託」の2つの方法です。

一見、手軽でコストもかからないように見える複合機でのスキャンですが、本格的な電子化を目指す場合には、思わぬ時間や手間、そして「見えないコスト」が発生する落とし穴があります。

ここでは、自社対応と外部委託、それぞれのメリット・デメリットを比較し、あなたの会社にとって最適な方法を見つけるお手伝いをします。

複合機での電子化|手軽だけど、実は非効率?

ほとんどのオフィスに設置されている複合機。そのスキャン機能は、数枚の書類を手軽に電子化するには非常に便利です。しかし、企業の膨大な文書を本格的に電子化するとなると、いくつかの無視できない課題が浮かび上がってきます。

複合機スキャンのデメリット

  • 膨大な時間がかかる:複合機のオートドキュメントフィーダー(ADF)に一度にセットできる枚数には限りがあります。数千ページにも及ぶ書類をスキャンするには、何度も原稿を入れ替える作業が発生します。スキャナーの稼働率を上げるためには、担当者はその場に付きっきりにならざるを得ません。
  • 面倒な「前処理」が必要:スキャン作業そのものよりも、実はその準備段階が大変です。ホチキスの針を一本一本外したり、付箋を剥がしたり、クリップを外したり。サイズが異なる紙や、感熱紙のように薄い紙、逆に厚紙などを仕分ける作業も必要で、これらが大きな負担となります。
  • 品質が安定しにくい:専任の担当者を置かない限り、電子化作業は既存業務の片手間が実施されるため、スキャン漏れやフォルダへの格納ミス、画像の傾き、天地逆といった不具合が生じやすく、データの検索性や判読性に支障を来たすことがあります。
  • 見えないコストの発生:最も見落とされがちなのが、人件費です。電子化作業に社員の時間を費やすということは、その間、本来のコア業務が止まってしまうことを意味します。この「機会損失」を含めると、トータルのコストは決して安くはありません。

結論として、少量の定型的な書類をスキャンする程度であれば複合機で十分ですが、全社的にペーパーレス化を推進する場合や、重要な契約書などを扱う場合には、非効率でリスクも伴う選択肢となり得ます。

スキャン専門業者への委託|プロに任せる価値とは?

スキャン専門業者は、単にスキャンを代行するだけではありません。文書電子化における豊富な知識と経験、そして高性能な設備を持つプロフェッショナル集団です。

専門業者に委託するメリット

  • 高い生産性と高機能:多くの専門業者は大型図面用、ブックスキャン用など原本の形状に対応したスキャナーを保有しています。また、専用スキャナーを複数台保有していることが多く、高い生産性を誇ります。また、これらのスキャナーは、画像の自動傾き補正等、複合機より高度な画像処理機能を有しています。
  • 手間いらずでコア業務に集中:面倒なホチキス外しや仕分けといった「前処理」から、スキャン後のファイル名のリネーム、フォルダ分け、インデックス作成まで、一連の作業を全て任せられます。これにより、社員は本来の生産的な業務に専念でき、会社全体のパフォーマンス向上に繋がります。
  • 万全のセキュリティ体制:機密文書や個人情報を扱う上で、セキュリティは最も重要です。多くの専門業者は、プライバシーマーク(Pマーク)や情報セキュリティの国際規格である「ISO27001」認証などを取得し、厳格な管理体制を整備しており、安心して大切な書類を預けることができます。
  • トータルコストの削減:初期費用はかかりますが、自社で対応した場合の人件費、機材購入費、そして機会損失を考慮すると、結果的に外部委託の方がコストを抑えられるケースは少なくありません。料金体系も明確で、予算管理がしやすいというメリットもあります。
  • 災害対策(BCP)にも大きく貢献:書類を電子化し、物理的に離れたデータセンターやクラウド上にバックアップを保管しておくことで、オフィスが地震や火災、水害といった不測の事態に万が一見舞われても、事業に必要な重要情報を守ることができます。これは、事業継続計画(BCP)の観点からも極めて重要です。

【比較表】自社対応 vs 外部委託

項目 自社対応(複合機) 外部委託(専門業者)
品質 △(担当者によりバラつきやすい) ◎(プロによる均一で高い品質)
速度 △(機種によっては遅い) ◎(大量の書類もスピーディー)
コスト △(人件費など隠れコストが高い) 〇(委託費用のみで管理しやすい)
手間・負担 ×(前処理から管理まで負担大) ◎(丸投げできて負担ゼロ)
セキュリティ △(自社での対策が必須) ◎(専門的な体制で安心)
対応文書 △(定型・少量向き) ◎(古文書、図面、契約書など多様)

まとめ:最適な選択で、未来のオフィスを築こう

文書の電子化は、単に紙をなくす「守りの効率化」だけではありません。眠っていた情報を資産として活用し、働き方を変革し、企業の競争力を高める「攻めの経営戦略」です。

  • 日常的な少量の定型文書であれば、手軽な複合機でのスキャンも有効な場面はあるでしょう。
  • しかし、本格的なペーパーレス化や、大量・多様な書類、機密文書を扱うのであれば、品質、セキュリティ、コスト、効率の全ての面で専門業者への委託がより優位な選択肢と言えます。

専門家の力を借りることは、文書電子化というプロジェクトの成功確率を格段に高めます。自社の状況、書類の種類や量を鑑み、未来の働き方を見据えた最適な判断をしてみてはいかがでしょうか。

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